目が覚めると、推しが私の顔を覗き込んでいた。私は両手に手を合わせ、再び夢の世界へと意識を飛ばした。南無。再び、目を開ける。推しがいる。息をしている。両手に口を合わせ、悶えていられるのはこの時だけだった。推しは私を床に押し倒し、小刀を私の顔の横に突き刺した。「なぁ、何を勝手にユズハの身体を使ってやがる」私の背筋が凍る。推しらしからぬ、冷たい眼差しは殺意すら感じる。どうやら私は小説の中にいる推しの愛しい人に憑依してしまったらしい。
7/11/2024, 9:23:57 AM