美しく、柔和で、可愛らしく。
鋭く、冷たく、近寄りがたく。
強かで、悠然と、神々しく。
それが、先輩の笑顔だった。
作られた笑顔の何と素敵なことだろう。誰にでも平等に向けられるその表情には天上の価値がある。完璧なバランスでもってたたえられた微笑みは、さながら聖母像のようだ。神の母、いや、あの人は神そのもの。誰をも救う神様。完全無欠、欠けたところのない存在は何よりも美しい。
ところで先輩は、僕の前ではひどく適当な表情ばかりしている。すぐに拗ねるし呆れるし怒る。大口を開けて笑うことだってある。完璧な神様は一体どこへ? だけど僕はそれを見て、ミロのヴィーナスやサモトラケのニケだってため息が出るほど美しいものな、とも思う。
2/8/2026, 3:09:58 PM