【胸が高鳴る】
“タイムスリップ”
それは所詮、物語の中のものだと思っていた。
今居る場所が戦国時代なのだと気づくまでは。
「さっさと歩け!」
2人の兵に挟まれ、歩くことを強要されながら、どう言い訳をしようかと考える。
まさか令和から来たただのシェフだなんて言えるわけがない。
「信長様、怪しげな奴を引っ捕らえました!」
…信長?
俯いていた顔を上げると、目の前で座っていたのは威圧的な雰囲気を醸し出す男。
冷徹な瞳が俺の事を見る。
この人が、あの織田信長?
ごくりと唾を飲み込む。
さっきまでの恐怖心はどこへ行ったのか、俺の胸は高鳴っていた。
3/19/2024, 10:45:21 AM