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ガシャッ、ドンッ
ボン、パリーン、ガシャッ

ドンッ、バンッ

勢いよくドアが閉められた音で静音が広がった。
玄関のドアを開けてから、セメントに突っ込んだみたいに動かなかった。

急に始まった3つ下の弟の癇癪。
中学生になって身体も大きくなったから、母と姉の私では力では適わない。
父は単身赴任で長崎にいる。あと1年は戻らないと言っていた。

トトトトットトットン

「あ、帰ってたんだ。おねえ、おかえり」
「うん」
私にはあまり変わらない。声変わりなのか、雰囲気なのか、少し声が低くなったくらいだ。
でも、その少しが怖い。
「じゃっ」
「うん」

少ししてからカチャッとドアの閉まる音がした。

靴を脱いで自分の部屋へと向かう。
母を、弟を遠ざけているのは私も同じだ。
弟はたぶん気づいている。私が彼を恐れていることも、私が彼を見なくなったことも。
そして、私は気づかないふりをしている。彼が悲しそうな顔を浮かべていることを。

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3/12/2026, 2:14:32 AM