猫宮さと

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《もしもタイムマシンがあったなら》
時を渡る。これは魅力的な響きはあると思う。
例えば、間違ってしまった行動の結果を修正しに過去へ行く。
例えば、今の行動の末に何が起こるかを確かめに未来へ飛ぶ。
色々なことが自由自在に操れる。一見、そんな魅力に溢れてる。

かつて、この世界で少なくとも一人、千年の時を渡る者がいた。
私はそれを擬似的に体験した。
方法は、ある場所で現在か千年前か、行きたい時代のそこの風景を強く思い浮かべるもの。
これには現在と千年前の記憶を鮮明に思い描かなければならない。よって、本来一人の人間が行うのは到底不可能な手段だった。
その人物は、千年前の記憶を移植されたようなものだった。だから、可能だった。

ただ、そもそもこんな事は、ストーリーの展開あればこそ可能な手段だったと思う。
実際、過去の状況を変えた場合、その未来である現在はどのような風景に変化しているか想像も付かない。
ほんの少しの変化を加えただけで、未来は大きく変わる。
特にテクノロジーに手を加えれば、その変化は顕著。それは、元の世界の技術の発展による変化で十分理解した。
だから記憶に頼る時間移動は、実際は不可能と考えたほうがいいと私は思ってる。

そして、もう一つ。
過去の出来事に手を加えれば、当然未来に受け取れるはずの成果も変化する。
単純に考えれば、過去の悪い出来事をなかった事にすれば、今が平穏で幸せなものになる。

でも。それって、その悪い出来事を乗り越えて強くなった人に対して失礼じゃないかな。

たくさんの辛い出来事。辛い記憶。確かに少ないほうがいいかもしれない。
大好きな人が傷付き涙を流すところを見るのも、とても辛いことだから。
それでも、たくさんの傷で精神を美しく研磨し、涙も輝きに変えて強く優しくある人を知っているから。

私はそんな彼を尊敬し、今を必死に生きていきたい。

7/22/2024, 10:15:43 PM