椎名めばえ

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#.hpmiプラス 🍭
2023.02.14
Happy Valentine & Happy Birthday!!
(投稿時間めちゃくちゃ遅刻してるけどおめでとうっ)

お題「バレンタイン」





オネーさん、そう街中で声を掛けてきたのはピンク色の髪をした可愛らしい男の子だった。
私は彼を知っている。と言っても知り合いとかそういうのではなくて、彼が著名人だから知っているだけだ。

彼――飴村乱数さんは有名ファッションデザイナーで、彼のブランドはシブヤディビジョン内外問わず大人気だ。また、彼が所属しているラップチームFlingPosseも大人気で、私も何度かバトル会場へと足を運んだことがある。
でもそんな有名な彼がただの通行人Aである私に何の用だろうか。

「乱数さん…?」
「ボクのこと知ってくれてたんだねっ嬉しいな〜」
乱数さんはぴょん、と跳ねた。あざとい…でも可愛い、それが彼の魅力だ。
「それで何の用でしょうか…?」
「○○オネーさん、ちょーだい?」

ちょうだい?正直身に覚えのない私は少し考え込んだ。……そうか、今日は2月14日。バレンタインデーだ。きっとチョコレートのことを言っているのだろう。

「チョコレートだね。はい、どうぞ」

運が良いことに買い物をした後だった私は、チョコレートのお菓子をいくつか持っていたのだ。

「ありがと。でもちょーっと違うんだよねぇ」

彼が言うには今日は誕生日なんだとか。

「そっか!乱数さんお誕生日おめでとうございます〜!」
「っていうことだから、ボクへの誕生日プレゼントにオネーさんを貰ってもいいよね?バトルに足を運んでくれたオネーさんを見かけた時からずっと狙ってたんだよね」

私の手をギュッと握る乱数さんをちら、と見ると、バッチリ目が合う。そうして彼は私に微笑みかけた。

乱数さんの笑顔は素敵だった。もし私がチョコレートだったら、きっと一瞬で溶け切っていたはず。だけれど、相手は乱数さんだ。溶け切るよりも前に、チョコレートを、私を食べてくれるだろう。

2月14日、バレンタインデーでもある彼の誕生日に私は彼の恋人になったのだった。


2/14/2023, 4:49:06 PM