良いお年を。来年は良い年だといいね。
半ば常套文句と化したその言葉を口にして私は玄関のカギを閉める。
ここ数年、年越しは一人だ。寂しくないといえば嘘になるけど、さっき帰った友達には猫ちゃんがいる。
そして私は猫が苦手。だから一緒に年越しなんて無理な話なのだ。
あーあ、彼氏とかいたらなあ……。
ため息をつきながら年末恒例の歌番組をだらだら見てるとブーブーとスマホが震えた。
見ると友達から着信が。何かあったのかな。
「もしもし?」
『もしもしー。今何見てるー?』
「年末の歌番組だけど……」
『おっ、じゃあ一緒に見よー! 猫ちゃんたちがいるとはいえ一人は寂しくってさあ。あっ、鳴き声は大丈夫だよね?』
「う、うん。たぶん……」
『おけおけ。じゃあスピーカーにして……っと』
「あ、あのさ……」
『んー?』
「……ありがとう」
私がそう言うと友達がケラケラと笑った。
馬鹿にしてる感じは一切ない。楽しそうな笑いだ。
『もー、お礼を言うのはこっちだって!
いつもありがとうね』
友達のあたたかい言葉にちょっと涙腺が刺激されたけど、悟られないように振る舞う。
だってちょっとかっこ悪いもの。
そして、この年越しがとても楽しかったのは言うまでもない。
また次もできたらいいな。
12/31/2024, 12:09:24 PM