フィロ

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その窓越しに見えるのは、大きな天秤だ
何故か片方向だけが下に下がったまま、その天秤はびくともしない

下がった天秤の大皿の中を覗いてみると、そこには若さや美貌や夢や希望、親しかった人々、生き甲斐や目標…
私が年齢と共に失ってしまったと嘆いていたものの数々がひしめき合っている

反対に、上がりっ放しの方の天秤の大皿にはこれと言って目立つものはなく、頼りなさ気な小さな灯りだけがちょこんと乗っている

恐らくこちらの方の大皿には、失ったものと引き換えに得たものが鎮座するはずなのだろう

そうか、私が覗いてしまった窓は私の「心の窓」だったんだ…


失ったものばかりを数えているうちに、私の心の天秤はこんなにも傾いてしまっていたんだ
これからの時間でもう片方の大皿に゙何かを増やしていくことは出来るだろうか…

少なくとも心の天秤がこんなに傾いていたことを知ったことは大きい


失ったものはもう取り戻すことは出来ないかも知れないけれど、経験や知恵は増やしていくことが出来る
その先に希望も膨らんで来るかも知れない
そして何より、こうして日々綴る言葉の数々が「自信」という重みを加えてくれるに違いない

いつかその天秤がバランス良くユラユラ揺れている様を心の窓越しに見てみたい




『窓越しに見えるもの』


7/2/2024, 8:49:20 AM