【枯葉】
枯葉に思い出はないので今日は真面目なことを書く。
いつも真面目なのは言うまでもないが、今日はより一層真面目である。
枯葉剤をご存知だろうか。
ビッグモーターの不祥事で、多少知名度があるかもしれない。
私にとっては過去でも現在でも枯葉剤といえばベトナム戦争で使用されたというイメージが強い。
ベトナムのゲリラ部隊に対抗するため、アメリカ軍が空から枯葉剤を撒き、木を枯らせるという戦略である。木々に隠れて、隠密的な攻め方をするベトナム兵に対抗するためだ。
つまり多数の人間の頭の上に枯葉剤が撒かれたのと同義である。
木を枯らせるほどのものに、人体に良い影響があるわけがない。
枯葉剤の影響で今でも被害を被っている人たちがベトナムに数多くいるのだ。
私が目にしたのは枯葉剤の影響から奇形と呼ばれる姿で生まれた子どもたちである。
私は映画が好きで、アメリカン・ニューシネマに一時期はまっていた。
アメリカン・ニューシネマは、アメリカでベトナム戦争時にムーブメントとなった映画の流行である。
ベトナム戦争はもちろん、ケネディ暗殺や政治の不振も相まって、若者のヒッピー化もムーブメントを後押ししたのだ。1960年後半~1970年代にかけてである。
このムーブメントの作品は暗い。
変わりようのない苦しみから、疎外から、足掻いている若者の姿を描いている。
明るい未来が描けないアメリカの若者たちの目線は、反体制に向けられる。
世界は平和に向かっていくはずなのだが、無意味な争いはなぜか?
ヒッピーたちはただラリって理想だけを語る奴らではあるのだが、たまには良いことを言うものだなと私は感じた。
第二次世界大戦が起きてもなお、世界を率いる立場を自負しているアメリカが戦争を起こしたのだ。
人は歴史から学ぶことはないのか?
原爆を落とした国は、ベトナムの地に枯葉剤を撒いた。
枯葉剤の人体的影響は調べられていなかったのかもしれないが、想像することはできなかったのだろうか。
人は考えることが出来るのに、この被害を想像することはできなかったのだろうか。
ベトナム戦争は本当に起きて避けることができなかった事象なのか。
人は過ちから学ぶ。
学ばない者は愚者である。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」
「精神的に向上心のない者は馬鹿だ。」
私は単に学ばない者こそ馬鹿だと思う。
上に立つ者ほど馬鹿だと救いようがない。
馬鹿でも他人の意見を聞き入れたり、参考にできるならばそれは馬鹿ではない。
問題なのは自分が常に正しいと思い、愚かなことを命じる輩である。
周りはイエスマンしかおらず、こんな奴らはいつかは滅んでいく。いや、今すぐ滅びろ。
こんな人間のために犠牲になる人たちがいることを私は許せない。
人として愚かである人間は、総じて優れた部分を見出だすことはできないからである。
ちなみに私がアメリカン・ニューシネマで一番好きなのは『ディア・ハンター』である。
ベトナム戦争の悲惨さ、作品としての素晴らしさは言うまでもない。
鑑賞しきるには体力がいるが、観て損はなかろう。
2/19/2024, 12:38:23 PM