目を覚まし、隣に彼がいることを確認して、私はほっと息をこぼす。布団の中でもぞもぞと動くその様は、なんだか小動物を彷彿とさせる。
くすりと笑った私は布団を抜け出して、そうして大きく伸びをした。カーテン越しの光は優しくて温かい。この瞬間が一番穏やかな時間だ。
彼が起きた途端、私の時間はいつも加速する。それは彼が小学生になってからも変わらなかった。体ばかり大きくなってもまだまだ子ども。私の隣で寝たがるんだから、困ったものだ。
「よし」
手櫛で髪を整えつつ、私はぺたぺたと歩き出す。慌ただしい朝が始まる前のこのひと時を、ゆっくりと噛み締めながら。
6/9/2023, 11:06:22 AM