奇跡とは、偶然と必然、それとそいつが何をしてきたかによるものだ。
昔見たアニメでそんなセリフがあったことを思い出す。
その時は、確かになと感心した気になっていた。
でも、まさか数十年後に身をもってその意味を知るとは思わなかったよ。
24歳になった俺は、初デートで告白することもなく振られたのだから。
良く考えれば当たり前のことだった。
初めて本気で好きな人が出来て、
初めてその人の為ならなんでも頑張りたい、その人の理想になりたいって思って
その一心で、今までなんでもいいと思ってた服装も、髪型も、眉毛も、爪も、コミュニケーション術も、寝る間も惜しんで頑張った。
けれど、その時間は、たかだか数日。
当日は、無言の時間も多く
好きだった人を
楽しませることも、一時の安息を与えることが出来なかった。
だってそうだろ。
これら全て今まで言い訳をして逃げてきたことなんだから。
そんな奴が今更頑張ったって奇跡なんて起きるはずがないだろ?
アニメの言葉に当てはめるなら
今まで得意でないことから逃げてたやつが、目を背けてきたやつが
たかが数日少しだけやって
偶然も必然も、それを引き寄せるだけの努力もできてるわけが無い
奇跡など起こるはずもない。
そんなの最初から、当たり前のことだったんだ。
彼女からは、今日はありがとうございました。
とメールが来た以来何も返ってこなくなった。
もう、何もかもどうでもいい。
好きだった歌も、理想に近ずこうと思ってた努力と思いも、
また次があるよって励ましの言葉も
全てに価値を感じなくなった。
🍀
寒い冬の夜。
俺は暗い街道をフラフラ歩き続けた。
彼女のために努力していた時は、輝かしく映っていた光景も
俺ただ惨めにしていくだけでしかなかった。
繰り返しになるが、それだけ本気で
相手がたとえ選んでくれなくても
友人ポジとかで何かしら支えになりたいって思ってた。
でも、全て後の祭り。
浮かぶのは、自分がただ過ごしてきた日々を
少しだけでも努力してれば、変わっていたんじゃないのか
それに気付けなけないでいたおれに価値なんかないんだろうと、そんな支離滅裂で嫌な思いばかりしかなかった。
もういっそ、俺の存在を壊して欲しい────
そんな、思いを抱いた時だった。
「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
それは、悲鳴ではなく、耳を塞ぎたくなるほどの猛烈な叫びだった。
「今から、歌います!!!!聞いてください!!!!!!」
思わず振り向いた先は、年若い五、六歳くらい下の女の子。ギターを持った20代くらいの女。
学生服を着た女子高生のドラマーが目に映る。
そこからが、壮絶だった。
荒々しくも、強烈な印象を抱く音色に、
自分自身に歌って、いや、ぶつけてくれているような歌詞と、その歌声に、
俺の頭は、今まで考えていたこと全てがフリーズした。
それが彼女たちをみつけた
最初で最後の日だった。
🍀
歌は、5曲ほど続いた。
その度に、色々なメッセージがあった。
打ちのめされ、振り出しに戻って
も諦めるな!
どんなに惨めでも、情けなくても、
そんな自分でもいいじゃないか!
努力不足で、変えられた明日だったとしても
それでも前に1歩踏み出せばいいって!
世界中の全てが敵になっても
賭けた努力を貫き通せ!
たとえ、奇跡が起きなくても
神様に見放されても
お前が信じた魂を、何かに届くまで燃やし、抗い続けろ!!!!
それら全てが、今俺の心に土足で上がり込んできた
けれど、それらは悪い気分でもなく
むしろ爽快感に似た言葉で表せない魂(もの)があった
🍀
曲が終わり
気づけば、俺は、泣きながら拍手をしていた
泣きじゃくりながらも相手に
この素晴らしい気持ちをくれた感謝伝えたくて
精一杯拍手を送った
それにつられてか、周りもぽつりぽつりと拍手をし、最後には大合唱となった。
この時に思ったのだ。
最高の色(魂)を持った
彼女たちを主役とした物語を作りたいと。
今の俺に文才もない、経験もない、人を動かせるだけの努力をしてきてもいない。
無い物づくしで、曲を聞く前の俺のように打ちのめされるかもしれない。
それでも、諦めたくないのだ
この思いを無駄にしたくないのだ!
たとえ何年、何十年かかることになろうとも
今度こそ必ず絶対にやり遂げたいんだ!って
1/8/2026, 1:33:33 PM