入木

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なあ、俺はもう老いさらばえた。
もう疲れ果てたんだ。
青い空でさえ、
もはや眩しくて見てはいれないのだ。

枯れていく紫陽花の木を見ろよ。
地に這って、高く空へは行けなかったんだ。
目指さなかったのか、
そういう生まれだったのか。
俺もそういう物だったんだ。

いつかの夢をみるよ。
花緑青の季節に。
俺も花を咲かせたんだ、
そんな事もあった。
昔の話だがね。

薄い雨が包む、薄明るい昼に、
赤い傘を差した、長い髪の女が通りがかってね。
花を見て笑ったよ、紫色の花だったんだ。

柔らかな笑みでね、小さく微笑んだんだ。
光の加減でか、髪が青墨のようになって、
月明かりの凪いだ海みたいな色でね。
それはそれは綺麗でね。

それを今も思い出す。

#初恋の日

5/7/2026, 4:34:59 PM