六月一日宮

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独占からくる優越は、思考を鈍らせる毒である。

これはただの持論だ。「私だけのもの」であったり「私だけしか知らない」であったり。対象は様々だが、それは皆一様にして"特別"という欲が渦巻いている。
独占欲、支配欲。連なって芽生える特別感、優越感は毒だ。効果はそれぞれであり、酷ければ、その人の行動原理すら簡単に変えてしまう。

けれど、その毒はあまりにも甘美だ。アダムが知恵を欲し禁断の果実に手を伸ばすように、私たちもそれらを求めてしまう。

前置きはこのくらいにしておこう。
恋は人を狂わせる、とはよく聞く話だ。僕はまさに、この毒が作用しているからだろうと考える。
恋心は独占欲であり、優越感だ。そうして周囲が知りえない姿を見る度に、また恋をしていくのだ。

毒の効果はそれぞれだと言ったように、それがいい方向へ繋がる場合も勿論ある。

なら僕にとってそれは、毒という良薬なのか、それともただの毒なのか。
僕だけしか知らないその表情を、声を、仕草を。誰にも見せたくないというこの感情と、脳が揺らぐ程の高揚感は、僕が狂うのには十分なものだ。
未来は誰にだって分からない。この世の原理を全て理解したかの悪魔であっても、未来の証明など不可能だ。
恋に狂った自分が、どちらに転ぶかなど、自分でも予想がつかない。

──僕だけの、大切な君。これ以上僕を狂わせないためにも、ずっと傍にいてくれ。

7/18/2024, 1:33:19 PM