俺の恋人は特に苦手なことがある。
それは『別れ』。
本人の知らないところでここから離れてしまった人や死別してしまったことがある。
死別してしまった人のひとりは俺のことを弟だと可愛がってくれた人だった。
一緒に暮らしていくうちに、彼女のそれが思っていた以上に根深いものと知った。
ひとりで先に眠った時に見えた涙の跡が痛々しくて、俺の胸も痛んだ。
俺がドライなのかなと思ったんだけれど、〝失う〟ことへの恐怖感が強過ぎて少しだけ不安になる。
だって、俺の仕事は普通に危険が伴うから。
だから彼女の不安をどう拭ったらいいんだろうと考えて俺は結論を出した。
彼女は、どんな顔をしてくれるのだろうか。
家族になりたいと願うことを。
おわり
四三六、涙の跡
7/26/2025, 3:54:03 PM