やわら

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ススキ。
秋っぽい木が紅葉や銀杏で、秋っぽい花が金木犀なら、こいつは多分秋っぽい草の代表格だろう。

日の光を受けて金色に輝く穂のノスタルジーな美しさが、いかにも秋らしい侘しさを感じさせてくる。ほのぼのというよりは、少し切なさのような物を含んでいるのだと思う。それは秋を感じれば、一年の終わりが脳裏を掠めるからかもしれない。

とにかく、ススキは秋っぽい植物だ。

でも最近気づいたけど、私が今まで道中で見かけて「おぉ、秋だ……」と思っていた植物はススキではなかったかもしれない。

どうも『オギ』という名前のススキによく似た植物があるらしいのだ。そしてこれもススキより遅れはするが、同じく秋ごろに穂を付けるらしい。

ススキと違ってふわふわしているらしいけど、遠目からではそんなの分からない。専門家でもないからなおのこと。

難しい。植物って難しい。
そういえばクローバー(シロツメクサ)と思ったら、カタバミだったこともあった。

絵で見るクローバーの葉はハートの形をしている。そしてカタバミの葉はなんと絵で描かれるクローバーそのままの形なのである。緑のちまくて可愛いハートが放射状に広がりながらくっついている。シロツメクサより余程クローバーをしている形だ。

なので幼少期の私はせっせとカタバミの中から、ありもしない四つ葉のクローバーを探していた。あんまりだ。可哀想すぎる。クローバーなんてお洒落な名前で呼ぶからそうなるのだ。四つ葉のシロツメクサに改名しろ。

幼少期の私が可哀想で健気で泣けてくるが、このいわば植物に騙された思い出というのは、思い返してみればちょっと滑稽で面白くて悪くないかもしれない。「ええ!? 違ったの!?」という衝撃も、そう何度も体験出来るものじゃないし、本物を見た時は何だか感動すら覚えられる。

これは似た物が無ければ体感できない記憶だ。そう考えると、なんか悪くないな……と思えてくる。なんか、パチモンなんて呼んで悪かったな。

ススキとそして秋の持つノスタルジーな雰囲気のせいか、つい過去に浸ってしまった。
たまには、そんな事があっても良いのかもしれない。もう年末も目前だから。

残りわずかの一年を、私はどのようにして使いきろうかな。

『ススキ』

11/11/2024, 2:57:37 AM