桜井呪理

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「はなればなれ」

あの子に逢いたい。

涙を流しながら、僕は声を漏らした。




僕は大人が嫌い。

大人は卑怯者だから。

少なくとも、僕たち子供を戦場に繰り出させて、敵をためらわようとするくらいには。

そんな僕は、東部の子供兵の落ちこぼれだった。

みんな、勇敢に戦っている。

僕より小さい子ですらも。

みんないかれてる。

僕は血が怖いよ。

いたいのが怖いよ。

ああ、あの子がいればなあ。

僕のたった1人の友達。

同じ戦場で出会い、僕たちは仲良くなった。

でも。

彼女は僕を庇って死んだ。

毒矢で打たれて。

痛かったよね。

辛かったよね。

ごめん。

ごめんね。

君に逢いたいよ。

なんで一生一緒が叶わないんだろう。

なんではなればなれになるんだろう。

この世界が嫌いだ。

ナイフを手に取る。

はなればなれになるくらいなら。

僕は潔く逝こう。

今まで1人にさせてごめんね。

あっち側で会えるかわかんないけど。

もしまた君の近くに生まれ変われたら。

今度は君を愛させてね。

僕はナイフを首に当てた。

最後に。

愛してるよ。

蚊の鳴くような声で、僕は血を見つめた。

11/16/2024, 11:05:19 AM