夏待ち人

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ずっと隣で


授業中だというのに、隣の席の彼はひたすらに絵を描いている。

彼は、私がノートを貸してくれる事に味を占めているのだ。でも悪い気はしない。なぜなら引き換えに彼の描いた漫画を読ませて貰っているからだ。

漫画の内容は、授業への集中力をかなぐり捨てているだけあってとても面白い。読んでいると1人で笑いそうになったり、悲しい顔をしたり…。おかげで私は人間観察好きな友達から面白がられる始末だ。

彼は将来漫画家になりたいらしい。


彼は図々しいことに、漫画家になったら私にアシスタントをして欲しいと語った時があった。「美術得意じゃん。」と。

なんと言う事でしょう。私を今以上に自分の将来に巻き込むつもりでいるのだ。とても図々しい。

そんな事を考えながら、空や草花、人や車など、周りを眺めながら帰り道を歩いた。目と頭の中は無意識に、物体を見ては構図を考えていた。

3/13/2024, 4:25:01 PM