落ちていく
貴方と私は、
夜が明ける頃には、静かに別れる、
夜明けと共に消えゆく関係。
この秘められた恋が、
救いへ向かう道ではないと知りながら、
それでも離れられないと、
心が叫ぶのです。
それは、逃れ難い、甘くて苦い依存。
私には、他に愛する人が居るのに。
それでも、貴方に引き寄せられてしまう。
貴方の存在は、
静かな業に蝕まれてゆきます。
夜の帳が降りると、
私は貴方の腕の中へと潜り込み、
まるで何かを取り戻すかのように、
弱く儚く震えるのです。
「また、会いに来てもいい?」
甘くて切ない声で問い掛ける、
貴方のその言葉に、
私は何度も解放され、
そして…同じだけ囚われているのです。
真実も幸福も、有りはしません。
私達が手にしているのは、
この脆い幻だけ。
だけど。だから。
ただ、この夜を、
ただ、この虚構を、
尽きることなく、
繰り返してしまうのです。
朝の光に追い立てられるように、
私の元を立ち去った、
貴方が残した、温もりの欠片を集め、
後悔を抱いて、眠りに落ちていく、のです。
私は。落ちていく。
落ちて、墜ちて、堕ちて…。
そしていつか、
私は…全てを失うのでしょう。
それでも、私は、
貴方を求めずにはいられないのです。
11/23/2024, 10:25:09 PM