皆が囲って手を翳して、揺れる巨大な冠のように
甘やかな顔を、蜜より蕩ける声を、花開き香る肢体を
けれど波を割る救世主にはなれないまま
深い深い海の底、哀れな王は溺れ死んだ
泡のように花弁を散らして、最後の一枚まで嘆きもせず
どうして隠れていてくれなかった
あなたの一声で誰もが目を覚ました
一晩踊れば阿鼻叫喚、もう一夜を越えれば炎熱地獄
その煌めく爪先は何より鋭い凶器になった
狂い合い、どよめいて、後には何にも残らない
みんなみんな、あなたのせい
芽吹いてしまった、咲いてしまった
一生、土の下で踏まれて生きれば良かったのに
冷たく暗い世界でも、あなたのままでいられたのに
神になどならずに済んだのに
そのくせ輝こうとする私を止める
羽ばたこうとする手首を掴んで
空から見下ろすちっぽけな芽はさぞ可愛いでしょう
結ばれない、見えない、あなたの顔が
不器用に歪んだ三日月の瞳、間違い探しの上向き口角
真っ白に燃ゆる炎の髪も
あんなにあんなに、愛しく思っていたのに
憎くて妬ましくて、何よりも誰よりも欲しかったのに
己の手の甲に遮られて、私の顔に影を落とす
瞼越しに、今日も暑いからと囁く声がする
慈愛のつもりか、救済のつもりか
あなただけを救えなかった、私への罰か
どうせ惨めに枯れるなら
いっそ摘んでしまえば良かった
折れる前に、風に運ばれてしまう前に
あなたを閉じ込めて、この胸の中で咲いて欲しかった
小さな園で歌って、踊って
たまに固い膝で眠らせて欲しかった
この心を秘して凍り付いた、私への罰なのだろう
分厚い氷の向こうから溢れる
あなたの光に目を細める
等しく照らすその光に、私は今日も焦がれている
どうしようもなく黒焦げになって
太陽を摘み取る明日を夢見ている
(眩しくて)
7/31/2025, 11:55:33 AM