くり

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耳を済ませて。
声が聞こえる。
何の声だろう。

子どもが公園で遊ぶ声。
お風呂で歌を唄っている人の声。
夫婦ゲンカをしている声。
テレビを見て笑っている人の声。

様々な生活の声を消すかのように、蝉が鳴く。
裏の竹林は蝉のコンサートを開いているのかと
思うくらい、一瞬足りとも静かな時間は訪れない。
昨年も一昨年も蝉は鳴いていた。人間が激動の3年間を生きている中でも変わらずしっかりと鳴き続けていた。

また、来年も同じ季節に耳にするのだろう、
人間の生活の声を消すコンサート。
人間にとってはただの蝉の声かもしれない。
夏の風物詩かもしれない。だが、私は毎年変わらず鳴く、その声がとても頼もしく感じる。

私が来年も今年と同じように生きている保障なんてないから。

生活の声を消すくらいの大音量。
来年は、どんな思いで耳にしているのだろう。
静けさを取り戻し、笹がぶつかる音が風情に感じる涼しい季節に、未来を想う。

9/23/2023, 3:26:39 AM