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お題:優しさ
※ほぼ愚痴
※編集中

『国語ノート』 
    
             20XX年 ◯月△日(金)

テーマ
優しさについて考える

問1.あなたが正しいと思う優しさとは何か、述べなさい。

困っている人を助けること
誰かを笑顔にすること
大切な誰かを守ること
不快な思いをさせないこと
これらは、正しい優しさに分類されるのだろう
この世界の秩序は、正しい優しさで成り立っている

それでは、何を持ってして正しい優しさとされるのか

世界から見た正しい優しさとは、自己犠牲なのだろう
後世に語り継がれ、称賛されるかの偉大な英雄も
身を挺してあの子を守るかの映画の主人公も
命をも投げ打つ姿を、群衆は讃える
しかし、多くの人は決して真似しようとはしない
称賛し、尊敬しておいてだ
正しいことであるにもかかわらず、だ

では、人から見た正しい優しさはどうだろうか?
それは、保身のための優しさだ
集団の秩序は、ちょっとだけの譲歩の積み重ね
優しい人ほど、たくさんの人間に好まれやすい
すると、誰かに攻撃されるリスクが減る
諍いを起こす可能性が、低くなるのだ

しかし、ただ優しいだけでは、逆効果だ
そこで、人は優しさを向ける対象を選ぶ
優しさの量まで、細かく調節する
このように、自分へ不利益が降りかからぬよう振る舞うことが、正しいものとされる
そして、自らの身を守れなかった者に対して、人々は口々にこう言うのだ
騙される方が悪い、と

これらを踏まえて、正しい優しさとは、
世界から見た優しさと個人から見た優しさの両立であると考えた
つまり、自己犠牲と保身を同時に行うということだ
取り戻せる程度の不利益をあえて被り、パフォーマンスとして示すことで、信頼を得ることではないだろうか


問2.優しさはなぜ必要なのか、考えを述べなさい。

優しさとは鎧だ
優しさの殻の奥底に自分を押し込めて
あらゆる悪意や正義から自分を守る
優しさとは、身を守るために必要なのだ

優しさとは武器だ
一方的に押し付けた優しさは
時に相手の弱みになる
時に誰かの心を傷つける
優しさとは、時に優位に立つ為に必要なのだ

人とは優しさを求める生き物だ
優しさの受け渡しは
行われることが当たり前なのだ
優しさを与えることのできぬ人間は、淘汰される
優しさとは、人から求められ、自分も求めているから
必要なのだ


問3.あなたにとって優しい人にとはどのような人物か、考えを述べなさい

私にとって優しい人とはどのような人物か
それは、優しくする方法を知っている人物だ

明るくて素直なあの人はもちろん
ぶっきらぼうで無口なあの人も
ちょっぴり嫌味なあの人も
優しさを与える方法を知っている
優しさを返す方法を知っている

例えその優しさが虚像だとしても
人から愛される術を心得ているのだ
集団の秩序を保つ術を心得ているのだ

たとえ過ちを犯したとて、それは多面的な性質を持つ人間の一側面でしかない
優しさを知っているのはきっと
誰かから優しさを受け取ったから
優しくする術を一度でも見たことがあるから
人を愛す方法をどこかで教えてもらったから
どんな形であれ、ほとんどの人は優しい人なのだろう

優しい人の中には、優しさを与える方法を教えられずに、自ら作り上げてきた人もいるのだろう
自分の身を守るため
だれかに愛されるため

そんな彼らの幸福を願う
いつか、優しさを与えてくれる人に出会えること
いつか、優しさを教えてくれる人に出会えること
いつか、優しい彼らの本質ごと理解してくれる人に出会えること
そして、心から身近な誰かを愛せる日が来ること


問4.あなたは優しい人でありたいですか?はい、か、いいえ、で答えなさい。

はい








裏面の余白

優しいねと、よく言われる
言われるたびに、胸が痛くなる
違う、違うのだ
あなたに見せている姿は
私の生み出した虚像でしかない

私はどこまでも臆病な人間だった
怒られるのが怖くて優しい子であり続けた
嫌われるのが怖くて好かれようとした
大人や友達に突き放されることを最も恐れていた
兎にも角にも、傷つきたくなかったのだ

私の優しさの正体は、底の見えぬ恐怖感
優しさを纏うことで、身を守ろうとした
なんとも身勝手な人間だ

傷つく心など疾うにないというのに
今日も優しい私を映し続ける
なぜなのかはもはや分からない

ひとつだけ、虚像の中に本当が混じっている
優しくありたい理由が、もうひとつだけある
人の笑顔を見ると、心がポカポカと暖かくなるのだ
きっと、誰かを笑顔にすることが好きなのだろう
嘘と恐怖で塗り固められた優しさだけれども
これだけは本当なのだと信じている


1/28/2024, 12:49:04 AM