この気持ちを表現するなら、“好き”って言葉で間違いないのだけど。
たった二文字で簡単には片付けられないほどキミのことを思ってる。
いつも一緒にいたいと思うし、寝ても覚めてもキミのこと考えちゃうし。いやむしろ考えすぎて眠れないほどになる。
今日も今日とてキミのことを考えながら仕事に行くとするよ。なるべくすぐ帰って来るからね。だからいい子にしていてね。
「行ってきます。くれちゃん♡」
ぼくの相棒、くれちゃん。正式名はクレステッドゲッコー。うちのくれちゃんはトサカがすごく美しい。身体の色は気品溢れる赤色。まさにぼくのアイドルだ。ぼくはもうこの子に夢中で最近じゃ何も手につかない。かわいくてかっこよくて大人しくて艶やかで。できることなら1日中ずっと見つめていたいさ。
もう少し大きくなったら一緒に散歩させてみようかなあ。キミを連れていろんな場所に行けたらいいのになあ。膨らむ妄想を抱えながら仕事に向かうべく元気よく家を出た。名残惜しいけど、しばしの別れだ。
「そうだ」
今度、ぼくの妹に見せてあげよう。お兄ちゃんいつになったら彼女できるの、って見下してきたからな。見たら驚くぞ。あでも、うちのくれちゃんは夜型だから会うとしたら夕方以降にしてもらおう。ついでにあまり気温が低くない日で。
そうと決まれば。ぼくは駅につくや早速携帯を取り出し妹にラインをする。今度ぼくの大切な人を紹介したいんだけど。送るなりすぐさま既読がついた。いつでもいいよ、と結構前のめりな返事が届く。あいつ、そんなにくれちゃんに会いたいのか。
「どんな人?、って……」
可憐で愛らしくてもの静かだよ。それだけぼくは返した。でも、教えるのはこれぐらいにしておこう。お楽しみは会った時に。あいつきっとびっくりするだろうなあ。楽しみだ。親族に大切な彼女を紹介するのって、こういう気持ちなのかあ。ニヤケる顔を一生懸命おさえつつ、僕はいつもの電車に乗った。
12/6/2023, 9:26:43 AM