雪弥

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北海道の冬特有なのかもしれないが、冬に「晴れた」ということは「特に冷え込む日」と同義だ。

雪がずっと降っているのが当たり前なのだが、ぴっかり晴れ渡る冬の日もある。そういう日は大抵風が強くぐっと気温が低い。
つまり、道が凍る。
ざくざくした雪は踏みしめて歩けるが、凍ると道産子にも滑らずに歩くのは難しい。
晴れた日にこそ、下を見ながら歩くことになるので、誰も晴れていることに気が付かない。

仕事合間のランチに外に出たその信号待ちで、横断歩道のどのルートが滑らず安全かを見極めていて、ふと空を見る。雲ひとつない、きりりとした晴天だった。ほ、と出た息が白く煙る。悪くない。

不便だし安全に歩くのは難しいが、悪くない。
毎日の、雪との生活も、こんな鮮やかな晴天を見る日があるなら、悪くない。

信号は青。
珍しく晴れ渡る青空。
安全なルートを確保さえすれば、空を仰ぎながら歩くことだってできる、という話。

1/5/2025, 2:59:42 PM