きらめく町並み
ハロウィンが終わった途端、街並みは一気にクリスマスモードだ。小さな子供がいる家庭はどこのクリスマスケーキを買うか、おもちゃはどれにするか。など真剣に相談したりしている。
「もぉー、いーくつねーるーとぉー、おしょぉがつ〜」
「クリスマスまだ終わってねぇだろ」
現在、二十時を回り、会社には俺とコイツしかいない。資料にミスが発覚し、パソコンに向き合っていた後輩は、向き合いすぎて頭がおかしくなったのか歌い始めたのは聞き馴染みのある正月ソング。
「彼女なしのクリボッチ確定の俺にはクリスマスなんてないようなもんなんですよ。爆発しろ」
とか言いつつ、この後輩。去年は彼女とクリスマスを過ごし「デート楽しかったー!」と満喫していたが。その約3カ月後、ホワイトデーを送って以降、疎遠になったらしい。本人に聞いた。
「ばあちゃん家の帰りの高速道路からキラキラ輝くビルの明かりがイルミネーションだと思って呑気に見ていた頃に戻りたい。社畜の涙の結晶だなんて現実知りたくなかった」
「その社畜の涙の一雫はおまえの自業自得だろうが」
一週間前に見直したか、確認してやろうか?という善意を『大丈夫!完璧です!』つって踏み躙んだのは誰だよ。
「先輩いつになく辛辣っすね」
ふっ、と俺は笑みを浮かんでみせる。
「俺はてめぇが終わるまで帰れねぇんだよ」
「すんません、すぐやります」
まったく。集中力を戻した後輩はガタガタと一気に修正をかけ始めた。
外を見ると、すっかり素っ裸になった木を葉の代わりとでもいうように纏わりついたイルミネーションが黄色にピカピカと点滅を繰り返している。
終電には間に合えば良いんだが。
俺はひとりごちた。
12/5/2025, 11:26:52 AM