→短編・爺や、かく語りき。
やや、姫様! 何をなさっておいでです? 恋慕の情を数式で明らかにする、ですと?
なんと愚かなことを!
愛や恋は、非常に尊い情緒でこざいますぞ。それを数字に置き換えるなど、以ての外でございます。
爺は、姫様をそのような不人情な輩に育てた覚えはございませんぞ。
あれ? どうなさいました? 表情が曇ってございますよ? 
え? 何かしておらねば、隣国の王子から手紙が来ぬ日を耐えられない……。
あれあれ、まぁまぁ!
フィアンセ様の便り無きをお嘆き故の、お暇潰しでございましたか。
致し方のない姫様でらっしゃる。
グツグツ思い詰めるのならば、隣国まで王子をお訪ねなさい。
「来い」と念じるよりも、「会い」にゆけばよろしい。
行ってもいいのかって、もちろんでしょう。姫様は、童話の主人公のような囚われの姫ではないのですからね。自分で運命を切り開きなさい。
あぁ、泣いたカラスがなんとやら。
そうそう、姫様には笑顔がお似合いですよ。
愛や恋の行方は、ハッピーな未来がお似合いございますからね。
テーマ; 愛(会い)―恋(来い)=?
10/16/2025, 1:48:23 AM