雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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―別れ際に―

「ごめんね」
『…うん』
「君にはギリギリまで笑顔でいて欲しくて、
ずっと話さなかったんだ。
今日まで黙ってて、ごめんね」
『…うん』
「君を置いていくなんて
したくなかったんだけど…でも、
僕の力じゃどうしようもなくて」
『…うん。
でも…でも……めて…って…しかった』
「え?」
『それでも、せめて言ってほしかった…!』
「」
『私と笑顔で居たいなら、
言ってくれればよかったのに!
そしたらいつもより
大切に時間過ごしたのに!!』
「…!」
『これじゃもう何もできないじゃない…!!』
「…」
『…ほら、そろそろ時間終わっちゃうよ』
「…あぁ。
…ホント何もできなくて、
何も言えなくて、ごめん。
もうこれからは隣にいてあげられないけど、
君ならきっと、大丈夫だよ。1人でも、大丈夫。
ゆっくりでいいし、
怖かったら立ち止まってもいいから、
前を向いて頑張ってね…応援してるから」
『っっっ、!』
「あぁあぁ、泣かないでよ、
君の笑顔が見たいんだ」
『…ありがと』
「そうだ。
これ…バラが好きだって、言ってたじゃん?
あげるよ」
『赤い…バラ…ありがとう』
「じゃあ、もう行くね
…どんなに遠くに離れてても、ずっと傍にいるよ」
それ以来、彼はここに現われなかった。

赤いバラの花言葉
――あなたを愛しています

9/28/2022, 12:50:48 PM