あんなに見事な散り様を見せてくれるのは、桜くらいのもんじゃないだろうか。
桜の雨が降り注ぎ、視界が白く霞むほどに、有終の美を飾る。
満開に咲き誇って人の心を浮つかせていたのは、ほんの一瞬の幻のようだ。
つわものどもが夢の跡。
そして、日常が始まる。
こうして桜は必ず散ってしまうので、受験の失敗を「桜散る」と形容するのはいかがなものかと。
咲き続ける桜があったら、合格祈願で日本中から受験生が集まるだろう。
いや、その前に、花見の酔客であふれかえるかな。
それとも、咲いて散るから愛おしいのであって、一年中咲いていたら人は興味を失くすかもしれないな。
「桜咲く」瞬間も無くなる訳だし。
桜の樹の下には屍体が埋まっている件。
一本一本の根本に埋まっていたらどれだけの数になるかって話と、なんであれだけ人の目を引く場所でそんな危険なことをするかって話。
坂口安吾か梶井基次郎かって話もあるかな。
どちらも読んでないけど。
いずれにせよ、美しいものは妬まれる、ってことじゃないのかな。
桜には何の罪もない。
染井吉野さんだけがもてはやされる問題はどうだ。
詳しくはないが、時期をずらしていろんな桜が咲く。
そっちの桜で花見をしている人はあまり見ない気が。
咲き誇り方の違いだろうか。
花は花、咲けばどんな花だって美しく香る。
そんな風に思えたのは社会人になってからで、学生の頃はまったく興味が無かった。
総じて「草っぱ」って呼んでた。
先日見に行ったネモフィラも綺麗だったな。
その花に見とれる君の横顔の方が…なんて相手はいないが、家族の幸せそうな笑顔が満開だったから。
4/17/2024, 11:35:38 PM