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   「大好きな君へ」


「ねぇ先輩、隣座ってもいいですか?」
先輩はいつも昼休みになると教室からいなくなることを私は知っている。
こっそり後をつけてようやく行き先を突き止めた。
そこは学校の屋上。普段生徒は立ち入らない。うちの学校は中庭が充実しており、主だった生徒はそこで昼食をとっている。
「なんだ、お前か」
「って俺の許可求めたくせにもう座ってるし」
先輩は呆れた顔をしながらも仕方ないといった様子で少し私から遠ざかった。
「ホントは嬉しいくせに」
「何か言ったか」
私は先輩の肩に寄りかかって目を閉じた。
「寝るのかよ」
…先輩は私の気持ち気付いてるのかな
…それとも気付かないフリしてるのかな
…暫くはこのまま…この時間を大切にしよう

3/5/2023, 8:46:12 AM