浅木

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 「愛」というのは、つくづく美化されすぎている。
 創作においての愛はとても素敵なものだし、この世に生まれた子供の殆どは愛の結晶だ。特別な感情……だとは思う。
 それでもいつも思うのは、「愛」があればどんなことでもこなせるというのはあまりに幼稚ではないか。
 愛とは感情だ。感情が長続きするのには、様々な要因が必要不可欠である。相手からの言葉、周囲の環境、自分自身の心。ざっと考えるだけで沢山ある。
 これらは何があれば解決するのか。率直に言うなら金だ。
 愛と金は悪い意味でよく天秤に載せられることが多い。愛は美しいもので、金は醜いもの。金なんかより愛が大切。散々聞く言葉ではあるが、本当にそうなんだろうか。
 どちらが大切か、というのは個人の判断によるだろう。いくら貧しく辛い道のりであろうと、相手と居るならば幸せだと考える人はいる。別に否定もしない。だが、金がないと言うことは、取れる選択肢が少ないと言うことだ。
 「たかが金」で、解決できることはこの世にごまんとある。金で愛は買えるものでは確かにないが、金があれば得られるものがありすぎる。
 では仮に金が無くなってしまったらどうなるか。金が無いから生活していく全てが不足して、不足したから今まで持っていられた物を落とす。そして落として全てを
失ったから誰とも関われなくなる。人と関わらないから自分を忘れられて、周辺の人間から無関心の外へ出されて、エンドだ。
 そうなると、幾ら愛を手に入れられたとしても意味が無い。その人と生きたいが為に一緒になった筈なのに、気がつけば捨てられる。もしくは二人仲良く心中か。
大半は前者だろう。
 ここまで考えてしまうと、愛さえあれば……というのは破綻しているように思えてしまう。勿論これに該当しない人達もいるだろう。誠実に努力だけで生きて幸せになる人も居る。けれどこの世の中、耳に入る情報を見ていると、どうしても「たかが金」で解決できることで愛が消費されていくのが顕著だと思う。
 だから愛を美化しすぎるているし、簡単に使い捨て、幻想を抱いている様にしか見えないのだ.
 



2024/5/16
「愛があれば何でもできる?」

5/16/2024, 3:58:00 PM