冬至。

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                びーえる注意報!


「おつかれー」
なんて言いながら待合室に入って来て真ん中の机に座ってスマホを触り始める彼。
と、それを壁に備えてある大きな鏡越しにこっそり見つめる俺。
これが最近の日課。
お互いに顔も合わせずそれぞれ思い付いたまま会話を続ける。
お互いに目線は大抵手の中のスマホに注がれている。
俺はスマホ見るふりをしながら後ろでスマホでゲームしたりペットボトルで何か飲んでるアイツの姿を追いかけてる。
適当に相槌を打ちながら会話を続けてると突然思いがけない言葉が飛んできた。

「で、なんでお前は鏡越しに俺を盗み見てるわけ?」
意地の悪い含みのある声に凍りつく俺。
鏡越しに目が合ってにやりと笑われた。
「別に直に見てもらってもいいけど?」
両脇に手を突かれて後ろから覆い被さるように囲まれた上から声が降ってくる。
「いや…それは。大丈夫です」
目を合わせれない。
のに、あえて鏡の中のあいつは俺と目線を合わせようと追ってくる。
耐え切れなくて下を向く。
「残念」
耳元で囁かれたかと思うと同時に頬に何か掠めた。
驚いて振り向いた横にあいつの顔。
「やっと目が合ったね」
にやりと笑われた。
そこに固まる俺の姿があった。


                 (凍てつく鏡)

12/28/2025, 9:59:44 AM