おむすび

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終わらない問い

彼は私にとって希望の光だった。本の魅力を教えてくれた。愛の素晴らしさを教えてくれた。いろいろな話を聞かせてくれた。友人の話、バイトの話、そして私の話。私の大切な人はあなただし、あなたの大切な人は私だったのに……
どうして私の前からいなくなってしまったの  

あれから1年がたち、私は会社員として地方に出張に行っていた。やっと5日の滞在が終わり仕事の出張から帰るとき、私は空のキャリーケースを引きずりながら家へ帰っていた。キャリーケースの中身は重すぎたから荷物は先に郵送した。これは結構楽だと思う。お金が余っているならこれも有りだ。こんなことを考えていると
ふと、前を見ると横断歩道の前に彼が見えたような気がした。暗くてもわかる。街灯の明かりが彼をスポットライトのように照らしていた。ここの道は人通りが少なくただでさえ、人は目立つ。そこに彼がいた。そこにいる彼はあの頃のままだった。少し目にかかるくらいの前髪、少し右に体重をかける立ち方。
そうだ。彼は私に背を向けていた。こっちを向いて、、私はここにいるのに…

気がつけば私は走っていた。彼が私のことを覚えていないわけがない。私のことをまた抱きしめてくれると信じて、
私はつい彼に手を伸ばしてしまった。勢いが余ってすぐに止まる事ができなかった。
「バンッ!!!!」車と身体のぶつかる音がした。

やってしまった。
あぁ、今は信号は赤なのに
右から車がやってくることなんて知っていたのに

次の日の朝、私が目を覚ますと隣で彼が寝ていた。思わず動揺してしまい、ガタッと音を立ててしまった。その音で彼は目を覚ました。顔は真っ青で、震えていた。
混乱しているようだ。当然だよね。車に跳ねられて、痛いよね。でもね、私もつらいの。こんな形で会いたくなかった。1年前あなたが家からいなくなって、すごいすごい寂しかったの。運転手さんひき逃げは今回は見逃してあげるね。
「私のこと好き?」彼に問えば出してほしいとばかり。悲しいよ。せっかく会えたのに。手錠も一番似合うものを選んだのに。ね、早く答えてよ。まだ聞きたいこといっぱいあるの。とりあえず聞きたいことがなくなるまでは

ここから絶対出さないから


終わらない問い  (嫉妬)


10/27/2025, 9:38:26 AM