ミツ

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「愛してるよ」

耳元で囁く。

でも、返ってきたのは、

「ありがとう」

これだけ。

「ねぇ、もうちょっと無いの?」

少し笑いながら聞いてみる。

「うるさいな」

言って耳をふさぐ。

「もう一回!」

無理やり手を引っ張る。

力が入っていなかったのか手は簡単に耳から離れた。

「愛してるよ?」

もっと可愛く。

でも、やっぱり。

「分かったから」

また、照れてくれなかった。

「何で?何が駄目?」

「何回も言われるから慣れたの」

「……」

そもそも、私はちゃんと理由があって言ってる。

ってゆうか、理由があったほうが言いやすい。

これは、こいつを照れさせるためのゲーム。

照れたら駄目、ってか負け。

私にデメリットは無い。

愛してるゲームって知ってる?

あれに良いなって思ったからやってみたんだ、照れたら負けって部分を真似しただけだけど。

言葉は何でもいい、私が一方的に好きとか愛してるって伝えるだけ。

「ねぇ、ゆうき」

澪(みお)ちゃんだ。

澪ちゃんはわかりやすい。

多分、いや絶対澪ちゃんはこいつの事が好きだ。

「何?」

二人だけの話が始まってしまった。

わざわざ会話に入る気もないし、その場から離れる。

どうしたら良いんだろう。

照れてほしい。

前に澪ちゃんに「愛してるってゆうきに言ってきて」って頼んだ時も、多分、照れてなかったと思う。

口元が緩んでニヤけてるみたいに見えたのが間違いではなかったのなら、照れたって事なんだろう。

嫉妬しちゃうな。


もう昼休み。

早速話しかける。

「あのさ、好きな人っている?」

「うん」

「えっ!?本当?誰?このクラス?隣?」

「このクラス」

「男?女?」

「女だよ、何その質問」

「いや、一応、誰?」

「誰でしょう」

「教えて!」

「言わない」

「何で?」

「逆に、好きな人いる?」

「うん」

「マジで?だれ?」

「ゆうき」

「え?ほんとに?」

「うん」

言い切った。

顔は見えない。

「嘘でしょ」

「嘘じゃない」

まぁ、昔からこう言うのでからかってたから嘘って思われてもしかたないか。

「……」

「で?誰なの?」

「言わない」

無理やり顔を見る。

照れてない。

「…とっておきだっのに」

好きなのは本当だけど。



〜何年か後〜

「結婚おめでとう!」

「ありがとう」

「おめでとう」

目の前には初恋の相手、ゆうきが立っていた。

「ありがとう」

ゆっくり笑う。

「おめでとう〜」

澪ちゃんだ。

「ありがとう」

「先越されちゃったなぁー、まさかゆうきにも負けるなんて思わなかったけど」

「あはは」

笑う。

乾いた笑い。

私、多分今でもゆうきのこと好きだ。

学生時代に言っとけば良かったかな、「結婚しよう」って。

でもさ、あんな子供だった時に「結婚してください」なんて、言えなかった。

愛してる。


                              ー愛言葉ー

終わり方、グダグダでごめんなさい。
ただ、「結婚しください」って言葉をどうしても入れたかったんです。

10/26/2024, 10:52:46 AM