真夜中に家電がなった
時計を見るとAM2時30分である
普通に考えると不穏な知らせ以外に考えられない
眠い目をこすりながら
慌てて受話器を手に取った
耳に飛び込んできた第一声
「あんた誰よ」
かけてきたのはそちらでは?
まさしく、もしもし?である
「カズヒコ、そにいるんでしょ」
言葉にはださなかったが頭は???でいっぱいである。
誰ですか?カズヒコさん。
「いいから出しなさいよ」
色々聞き間違いも含めて、考えが寝ている脳みそを一周し、絞り出した答えは
「私はカズヒコではありません」
思わず英語の教科書に載っている和訳のような返事をしてしまった
「分かってるわよ、とぼけてないでカズヒコを出しなさいよ」
「カズヒコという人はいません」
思わず人でないカズヒコはいるような言い方をしてしまったか……と後悔したが特に突っ込まれなかった
相手にも余裕が無いようだ
しかし、随分な話である
そもそもはかけまちがいをしてきたそちらに非があるにもかかわらず真夜中にここまで初対面の相手をなじれるとは
一度冷静になって自分を省みて欲しい
そこまで考えると寝ぼけた頭にも少し怒りがわいてきた
温厚な質なので極めて冷静に
「とりあえず、おかけまちがいです」
とだけ言って
電話を切ってやった
しばらく待ってみたが、もう一度かかってくることはなかった。
恐らく、正しいカズヒコにさっきの女は誰かと更に怒りを倍増させてかけている事だろう
少しカズヒコに申し訳ない気持ちもあったが、こちらも被害者なので気にせず眠ることにした
実話である
5/18/2024, 8:34:09 AM