あなたがくれた一輪のコスモス。「これくらいしか、あげられなくて」寂しそうに笑った。一輪挿しを窓際に置いた。窓の外は夕暮れてゆく。秋の日の夕焼けに、君の笑顔が溶けてゆく。もう、思い出さなくてもいいんだ。悲しいほどに不自由だったあの頃。君のそばで、願うことすら許されなくて。一面に咲き乱れるコスモスの、そのたった一輪。世界から取り残されたあなたのように。窓際で今日も泣いている。もう、あなたには会えないのに。
10/11/2025, 1:37:13 AM