喜村

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 私には、気づいた時には母親がいなかった。
幼稚園の母の日のプレゼント作りや小学生の時の参観日、何故か普通に友達には母親がいて、私が普通じゃないことに気付き始めた。
 今の時代だと片親も珍しくないけれど、やはり周りから視線は薄々感じていた。

 母親に会いたい。

 いつからかそう思う気持ちは薄れてきた。自分が他と違うから憧れて、幼い頃は会いたいと騒いでいた記憶はある。
 机の引き出しには、父親には内緒の鍵付きの引き出しに母親へのプレゼントが入っている。
幼稚園の時に作った母の日のプレゼントや、運動会でのメダルなどの自慢したい品々。

 なんで私をおいていったのか、とか、いつからいなくなってしまったのか、とか、聞きたいこともたくさんあるけれど、一つだけ。
恨んでないから、憎んでないから、好きだから会いたい。
この思いと自慢の品々をあなたに届けたい。


【あなたに届けたい】

1/30/2023, 10:27:24 AM