織音(orion)

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私たちが通ってた学校は、カリフォルニアにある私立の割と裕福な家庭の子が通う大学のキャンパスで、校舎や施設も古いものもあったけど、とても立派で素晴らしい環境だった。私は寮生ではなかったから、新しいカフェテリアで食事することはなかったけど、授業が終わった放課後だったのかな、待ち合わせてサカイとテラスの席に向かい合って座った。
晴れてて、心地良い天気で。
座るなり、テーブルに項垂れるようにして右手を伸ばして私の手を掴んで、いきなり息を吐くように、笑って「結婚しよう」って言ったの、覚えてる?
周りには誰もいなかったと思うけど、もうサカイしか見えてなかった。ても、付き合って間もないのに結婚なんて何言ってんだろうって、その時の私には冗談にしか聞こえなくて。あっさり「何言ってんの」くらいにしか返せなかった。高校卒業して半年、19歳になったばかりの私にはとても現実味のない言葉だった。
サカイはまだ18歳だったけどね。
プロポーズのタイミングとしては早すぎたね。

8/18/2023, 3:07:24 AM