陰鬱なホームに一分の遅れもなく電車が止まると、定時が繰り下がったかのように錯覚を起こして、今日もこの時間に帰れて良かったなんて思う。
がたんごとん。
夢への寝床はこの車両。
空っぽでふかりとした、自由席。
ほうじ茶は冷えた身体のお守り。暖色の光が優しくて、ボタンを押す指は震えていた。
がたんごとん。実際の音はもっと柔らかな気がする。電車の揺れも、自販機での購入も。
過ぎゆく景色に横顔が映る。
落ち着いてきた頃にはどうしても、環境より自分に目がいってしまうもので。今に不満は無いけれど、こどもの頃の夢は夢のままだ。
チャームを作りたかった。
身に着けるまでもなく、眩い光を放つほどの。
材料、分量、費用、器用、熱量、空想、需要、偶像。壁は想像よりも多様にあって、
どれもシンプルだった。
欠片でもいい。反射でもいい。
ベッドで夢は見られない。
数十分と決められた区間、まどろみを繋ぎ合わせて生きるだけだ。
【夢の断片】
11/21/2025, 1:01:08 PM