9/16「空が泣く」 血とともに体温が体から流れ去っていく。頭が冷たくなってきた。小竜の首を撫でながら、苦しい息を絞り出す。「ごめん、ね。私は、もう…」 キュウン、と小竜が鳴く。「でも、どうか…。人間を、恨まないで」 私たちを追う複数の声が飛交っている。岩陰から見える空はどんよりと曇り、自分が最期に見るにふさわしい空に思えた。「…元気で、ね」 目を閉じる。手が落ちる。最期に感じたものは、頬にぽたりと落ちた雫だった。(所要時間:7分)
9/17/2023, 1:25:19 AM