ふわり
柔らかな布で作られたスカァトが風を視覚化する。
あ、桜色や。
ぼくが目を見開いてそう思ったら頰に衝撃が疾る。
「このう!へんたゐ!」
ぼく、悪くあらへんし。
ガシャンと地面に転げた眼鏡をボーッと見てゐると彼女はプンスカと怒って何処かへ行ってしまった。
桜色かぁ...もうそんな時期なんやね。
打たれた頰がジンジンするのとなんだか落ち着かなゐ気持ちでなんだかソワソワとしてしまう。打たれて気分悪くなるはずやのに春を喜ぶ動物みたゐに高揚しとる。
これも春風の悪戯なんやろうか?それともぼくは何か知ってはいけないことを知ってしまったのやろか。
でもとりあえず。
「もう一回...叩いてくれんかなぁ...」
そう思うぼくの頰を未だ未だ冷たゐ風が冷やしてくれてるかのやうにサラリと撫でていった。
1/17/2025, 1:45:04 PM