ぼくはお父様と同じ、プラチナブロンドの美しい髪だ。この色はぼくの自慢。お父様もいつも嬉しそうにぼくの髪を撫でてくださるんだ。
お兄様はお父様と瞳の色がお揃い。空のように美しいロイヤルブルーだ。お父様はいつもお兄様に「その瞳は知識の色。国を統べる者に相応しい」と仰っている。
だけどお兄様は、本当はお勉強が苦手らしい。
お父様は、お兄様とぼくに家庭教師を呼んでくださったけど、いつも先生はお兄様の態度や成績に頭を悩ませている。
「私の可愛い王子。きっと兄君のお役に立ってね。陛下のためにも」
お母様はぼくがお勉強で褒められるととても嬉しそう。ぼくのこともたくさん褒めてくれる。
数年経ったある日、ぼくとお母様は、お父様のお住まいから離れた塔に移された。お兄様のお母様――王妃殿下がお決めになったことだった。
王宮内に出入りする一部の人達から、次期国王にぼくを推す声が上がったらしい。
お兄様は相変わらずお勉強の時間に城下へ遊びに出たり、先生相手に傲慢な態度を取ったりと、好き放題やっている。最近はお父様も頭を抱えていたっけ。
お母様もぼくも、一度だって王位を欲したことはない。あの椅子はお兄様のものだと分かっている。
けれど臣民からの支持を得られないのも事実。
智の蒼眼は今頃、何を見つめているのだろうか。
〉優越感、劣等感
7/13/2022, 1:34:18 PM