これは夢なのかな。
そう問い掛けたら、
そうだよ、夢だよ。
と言う、君の声が返ってくる。
夢だから、
醒める前に早く終わらせよ。
夢だから、
忘れてもいいんだし。
そうか。
これは夢なのか。
そう思ったら、
何故か涙が一筋こぼれ落ちてきた。
夢の中でなら君と思う存分愛し合える。
そこには僕らを苦しめた身分の差も、
僕らを別たせた戦争という残酷な悲劇も、
どこにもないのだから。
愛してるよ、と僕は言う。
私もよ、と君が返す。
けれど、ずっと一緒に居ようとは、
僕も君も言わなかった。
【夢が醒める前に】
3/21/2023, 1:47:59 AM