ほっとここあ

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眠れない夜、瞼を閉じてもぐるぐると思考が巡ってしまう日。そんな時は、なんの宛もなく家を出て、月明かりの下を歩く。
自分の体温で温まっていた布団と、外の気温の差が大きすぎて、ドアを開けた瞬間身体が小さく震えた。それでも、家に戻ろうとかそんな事は思わない。とりあえず、温かい飲み物を手に入れたくて、近くの公園を目的地に足を一歩一歩進めた。

手袋をしながら、小銭を掴むのは割と難しい。目の前の自販機は悪くないけれど、少しだけ鋭い目つきを向けながらなんとか飲み物を購入する。
コーヒー、を買ってしまえば本当に眠れなくなってしまうし、ココアやミルクティー、はちみつレモンは深夜のこの時間には甘すぎる。だから一番シンプルで、優しいお茶を両手で包み、頬まで近づけた。
「あったか.........」
次は中も温めるべく、一口をゆっくり身体に流し込む。ゴクリ、と喉を通せば、それが流れていく感覚がハッキリと分かるくらいあたたかくてホッとする。
ふぅ、と白い息を吐き出して、溶けていくのを見届けてからまた、足を進めていく。ここの公園はとくに大きいわけでもないし、特別凄いものがあるわけでもない、普通の公園だ。けれど、ココには池があって、その近くにはベンチがある。そこで、ひなたぼっこしながら本を読むのが好きだった。時折、池の中を覗いては、鯉を目で追っていた。そう、お気に入りの場所、なのだ。
コトン、とベンチにお茶を置き、先に池を覗きに行く。と、寒さからだろう。池には薄らと氷が張っていて。月の光でキラキラと輝いている。そこに移る真上の月が、まるで氷の上に落ちているみたいに近く感じた。

12/27/2025, 11:32:08 PM