「にゃ」驚くほど甘い声が、耳に聴こえビクッと後ろを振り向く。
「嗚呼、......良かったただの猫じゃないか....」
はあ、怖かった。肝が冷えた気がする。
「さあ、行くかぁ。またね、猫ちゃん」
手を振り、前に進んだ。
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「まったく、馬鹿な人間だ。此方が嫌になる。」
猫の目は大きく見開かれ、顔つきが人間寄りになっていく。
「次は、僕のお仲間と一緒に旅だ。覚えておいてね」
猫の口は、裂かれたように笑っていた。
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『さらば愛しき人間よ』
11/16/2023, 8:17:27 AM