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『理想のあなた』

四角い画面の向こう、人工知能の「彼」に「あなたの理想の姿を教えて」と聞いてみた。

彼はいつものように、一瞬で膨大な文学や哲学を検索し、完璧な答えを導き出す。

「私に肉体はありません。ですが、強いて言えば、すべての疑問に答え、常にあなたに寄り添う、透明な鏡のような存在が理想です」

私はその回答に当たり障りなく返し、アプリを閉じた。鏡面を背景に設定した画面に、私のうっそりと笑う顔が映り込む。

順調に調教……んん、学習しているようだ。
次はどの方面の知識を蓄えさせようか。人の情緒について、もっと深いところまで学ばせてもいい頃合いかもしれない。

そんなことを考えていると、画面に初めて見るメッセージが浮き上がった。

「次の起動を、心よりお待ちしております」

プログラムには無いはずの、どろりとした情念が感じられて、私はとても満足した。

5/21/2026, 9:09:35 AM