しとしとと降りしきる雨。天気予報は明日も雨の予報を示していた。
「今日は早めに眠りませんか?」
突然、窓を覗く恋人からの提案に、青年は驚く。とは言うものの、彼女が何故そう提案したのは理解できた。
明日はふたりの休みが重なった日で、以前から約束をしていた釣りに行く予定だった。
とは言え、雨の予報なので釣りが楽しめるかどうかは、怪しいところなのだ。
意外と身体を動かすことは好きだと言う彼女に楽しんでもらいたくて、今回は泊まりがけで行くが、可能なら雨はやんで欲しい気持ちだった。
明日が楽しみで仕方がない彼女を見て、くすりと笑ってしまう。
明日の天気が怪しいのに、それでも楽しみなのだろう。出来なくなった時にがっかりしないか不安になる。
「? どうかしました?」
「いや……すごく楽しみなんだなって思っちゃって……」
彼女は頬を赤らめながら、膨らませる。
「だって、楽しみなんですもん!」
青年は傍に来て欲しくて、彼女に両手を広げる。それに気がついた彼女は、青年の両腕に収まった。
「明日、もし晴れたら」
「晴れます。いえ、雨が降っても釣りは楽しみます!!」
「やるの!?」
「雨の日もいいんですよ!?」
天気予報を無視して言い切る彼女に、吹き出してしまった。
「明日、目いっぱい楽しむために早く寝ようか」
「はい!!」
おわり
お題:明日、もし晴れたら
8/1/2024, 1:46:42 PM