鳥かごの中は安心に満ちていた。
いつも見守られていて、どんな時だって助けを求めれば応えてくれた。
それに、外に出たい時には自由に外に出してもらい、帰ればまた安心して眠った。
気儘だった。
鳥かごを出たあの日から、徐々に世界は怖いものに変わっていった。
怖いものから逃れるため、私は自ら新しい鳥かごに入り、怖いものがひとつ増える度に、少しずつ鳥かごを頑丈にした。
けれど、どれだけ頑丈にしても、あの頃のように安心して眠れる事はない。
今となっては外に出ることもままならない。だけど、これでいい。ここで少しでも生き永らえるのだ。
また外に出たいと思える日が来るかどうかは、わからないけれど。
7/25/2024, 3:27:31 PM