単語の板書って、なんでこんなに眠いのだろうか。
英語なんて使う機会ないでしょ。
周りの大人はみんな、いつか役に立つから、なんていうけど、使ってない癖に無責任だ、と涼は思うのだ。
窓外に目をやれば、隣のクラスが体育を行っていて、ボールを追う歓声とともに流れ込んでくるのは生ぬるく湿った風。
本日は見事な曇天である。
思い起こすのは昼休み。
「涼、さっきの授業、聞いてなかったでしょ。
コバセンがため息ついてたよ。」
「寝てるよりマシでしょ。」
「ま、なんか言われるわけでもないしね。
てか、今日天気悪すぎ。傘ないんだけど。」
「あるある〜。一緒に帰る?」
「え、涼様じゃん。アイス奢るわ。」
だから、あいまいな曇天では困るのだ。
曖昧な関係をそのままにするために。
どうかどうか、雨になりますように。
6/14/2023, 1:48:22 PM