コンクリートが崩れ去った
赤黒い液体の染み込んだ黒茶けた土の上で
腐り落ちた君と僕は
抱き合うのだ。
白けた目を向けるものなど誰もいない
ふんわりとしたきめ細やかな死の灰に守られて
つきん、と、関節を刺す異常な肌寒さも
意味もなく鮮やかな熱い太陽も
全てに祝福されて
君と僕は肩を寄せ合って、見つめるのだ
遠い遠い終焉を。
焦げついた最後の地で、君と僕は。
まだ未熟な身体を寄せ合って
打ちのめされた幸せな記憶と自分らしい精神の
僅かに残ったボロ切れのような希望を掻き抱いて
空を見るのだ。
待つのだ。
あの太陽が、世界を焦がすのを。
あの怪物が、地上を更地にするのを。
君と僕は。
肩を寄せ合って。
空には今にも目に赤く灼きつきそうな赤い太陽。
君と僕は、全部燃え尽きてしまわないように寄り添って
もう崩れ、溶け、腐りかけている肩と肩を寄せ合って
腕と腕とを混ぜ合って
世界の終わりを、正面から見つめる。
君と僕。
君と僕、ただ二人しかいない世界だと信じ込めそうなほどに静まったこの世界で。
君と僕、最期の生き残りだと言い張れそうなこの世界で。
世界の終わりを、見つめる。
君と僕で。
抱き合って。
4/11/2025, 2:38:07 PM