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読者様なりに
登場人物やその時々の背景、設定を
置き換えて読んでいただけるよう
あえて曖昧なストーリーとなっております
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「こちらがお客様の部屋のカードキーになります。エレベーターより上へ上がれますので、あちらのエレベーターをご利用くださいませ」
カードキーを受け取り
受付の女性が指したエレベーターへと向かう
エレベーターの中で
この国のことを振り返るように
調べた内容を思い出す
結構大きな街とも言える国なのに
満天の星々が見えると有名で
星をシンボルとしている
星がどの国よりもよく見えるのには
ちゃんとした理由があるらしい
術士のことがなにやら書かれていたような記憶があるが……
生憎そういった話は興味が無い
そこの文章は読むことはせずに
この国に訪れたわけだ
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夕日もだいぶ傾き、薄暗くなった街を抜け
ホテルにチェッインする時間つぶしに
ブラブラしている間に見つけた
人気の少ない高台の一角に場所を取る
辺りが暗くなった頃
柵を前に街の方へ視線を向ければ
街灯やら魔法などで灯された火が
そこら一体を明るくしているのがよく分かる
街頭の少ないここでは
どこか置き去りにされたような
そんな雰囲気を感じさせた
思いにふけっていると
急に「やっと見れた……」と若い女性の声が耳に届く
反射的に顔を向ければ
その声の持ち主である女性は
口元を手で覆い、空を見上げている
あぁ、噂通りの“満天の星々“が
目の前に広がっていて、感動しているのか…―
他人事のように思っては
軽くため息をついてしまった
自分の足元に視線をやり、瞼を閉じ
そっと顔を上げて、ひと呼吸おいて
閉じた瞼を上げる
辺りが暗くなってから
そんなに時間の経過はなかったはずだ
真っ黒なキャンパスに白を筆で飛ばしたような
星々の姿
その光に空が青白くも見える
こんなにも明るい空に―
女性の声がするまで私は気付かなったのか――
[星が溢れる―不意―]
3/15/2024, 1:44:04 PM