ちる

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ドアが閉まると同時に
話し出す自動精算機
その声の無機質さを
かき消すような濡れた瞳

靴を脱ぎ捨てる間も惜しんで重ねた唇は
貴方と赤ワインの味がした

指輪の跡が見えないように
絡めて結んだ指先は
纏わりつく蜘蛛の糸のよう

囚われたのは
あたしだと思ったのに

あたしたちは
どちらも捕らえられた蝶

【今日だけ許して】

わざと蜘蛛の巣に飛び込んだの
もう羽ばたけなくても
貴方に触れたくて

10/4/2025, 10:35:30 AM